
誰にでも残念ながら起こりうる流産。
流産の多くはごく初期に染色体異常のため起こり、掻爬手術という手術を行うパターンがあります。
この掻爬手術、加入している民間保険によっては給付金がおりるケースがあります。
心身ともにつらい時ですが、流産の手術にも、体調を整えて次の妊娠を目指すにもお金は大切です。
管理人イチも流産を経験した際、掻爬手術予定となり、加入保険会社へ問い合わせをしました。
その際の体験などをまとめます。
稽留流産とは?
稽留流産とは、赤ちゃんの発育が停止しているが、出血や腹痛などのいわゆる流産の兆候がみられない状態のことを言います。
流産の一つですが、お腹の中に赤ちゃんが残っているため、なんらかの方法で外に出してあげないといけません。
どのように処置をする?
掻爬手術
子宮内に器具を入れ、子宮内容物を掻きだす手術です。
「子宮内容掻爬手術」、「子宮内容除去手術」なんて呼ばれたりします。
亡くなった赤ちゃんを長期間お腹の中に残しておくと、感染症のリスクや、突然の激しい腹痛・出血の恐れがあるため、掻爬手術を第一選択とする病院が多いようです。
自然排出待ち
人間の身体は異物を外に出そうとする力が備わっているそうです。
亡くなった赤ちゃんは、残念なことですが、母体にとって異物となるため、外に排出されます。
「自然排出待ち」等言ったりしますが、稽留流産が進行流産に移行し、完全流産となるのを待つ方法です。
手術の必要はありませんが、かならず完全流産に至るわけでなく、子宮内容物の一部が身体に残ってしまうことがあり、その場合は不全流産となり、結局掻爬手術が必要となってしまうことがあります。
また、感染症のリスクがある場合、この方法はとることができません。

医療保険がおりるケース
結論からいうと、民間保険会社から給付金がおりる可能性はあります。
ただ、加入している保険と、入院手術になるか否かがポイントになってきます。
上述の処置のうち、給付金の対象となりえるのは、「掻爬手術」の場合のみで、「自然排出待ち」の場合、それだけでは給付対象とならないことがほとんどだと思います。
(※もちろん、加入保険内容によるので、この機会にご自身の加入保険内容を確認しておくのがいいと思います。)
民間の医療保険の多くは、
「手術(※)で〇万円給付」 ※手術も適応となるものが決まっている
「入院1泊で〇千円給付」
などと決まっている場合が多いと思います。
民間の医療保険に加入されている方は、保険会社に問い合わせてみて、掻爬手術が加入保険の給付対象になっているかを確認するのが、一番早いと思います。
ちなみに、国民皆がなんらかの形で加入している健康保険、こちらは基本的には何か給付がおりるというものではありません。
掻爬手術は保険適用手術となるため、この費用を3割負担にしてくれるものですね。
場合によっては、高額療養費制度というものの対象になることもありますが、自己負担額が限度額を超える必要があり、掻爬手術は自己負担が1万円前後のため、これにひっかかってくることはそうないのかなと思います。
会社や健康保険組合によっては、独自の付加給付制度を設定している場合もあるので、自己負担額があまりに多くなってしまった場合、民間医療保険だけでなく、健康保険組合に問い合わせるのもありかもしれません。
入院した場合
入院した場合、最近の保険では「入院1泊〇円」などの給付対象になることが多いと思います。
気をつけてほしいのは給付条件。
「入院5日以上の場合より給付」等の条件がついていることがあります。
少し前の保険は、こういった条件がついていることが多かったようです。
掻爬手術は日帰り入院もしくは1泊入院が主流のようですので、入院当日から給付金がおりるタイプの保険でないと、入院に関する給付は受けることができません。
最近の保険は、入院初日から給付金が下りるタイプが多いですが、ご自身の保険を今一度ご確認ください。
日帰り入院も含むケースも
ポイントは、日帰り入院も入院としてカウントされる可能性がある点です。
これももちろん加入保険によってくるのですが、私の加入している保険では、日帰りでもなんでも入院していれば入院給付は間違いなくつくよ!というものでした。
掻爬手術を日帰りで予定している方は、その手術が「日帰り入院」に該当するのか、「外来通院」に該当するのかをしっかり確認しておきましょう。
通院特約
最近の保険に特約としてつけられるものとして「通院特約」というものがあります。
保険会社によりますが、私の加入している保険会社では、「退院後、その病気のフォローのために通院する場合、一日〇千円給付がおりる」というものでした。
最近は入院期間をできるだけ短くし、その後通院でフォローする形が増えてきたということでできた特約だそうです。
掻爬手術後は、経過観察のため数回通院することがあるため、もしこの特約をつけていた場合、こちらも給付対象となる場合があります。
女性疾病特約
各保険会社が規定する女性疾患が原因で何らかの給付がおりる際、追加で給付がおりる特約です。
「入院+5,000円」、「手術+50,000円」等、主契約にプラスしてという形をとっているところが多い印象です。
女性特有のがん等が対象のことが多いですが、掻爬手術や帝王切開など、妊娠出産にかかわる部分も対象となっている保険もあるので、加入保険を確認してみてください。
親がかけてくれてる保険があるかも?
結婚したばかりの方は、ご両親が自分にかけている保険がまだあるかもしれません。
せっかくかけてくれている保険があるのなら、問い合わせてみない手はありません。
妊娠や流産について既に伝えている方は、ご両親に確認してみてください。
まずは加入保険会社に確認を
なんにせよ、これらは加入している保険会社にもよりますし、保険の種類にもよります。
さらには、加入の際条件付き加入となっている場合、その人個人によっても大きく異なることもあります。
手元に保険加入証を用意したうえで、加入保険会社の問い合わせ窓口に電話してみてください。
ただ、保険問い合わせを考えている方の中には流産がわかったばかりという方もいらっしゃるかもしれません。
後述しますが、私も流産の確定診断を受けて、掻爬手術が決まった直後に電話をしましたが、本当にしんどいことでした。
後々また病院に行く手間が生まれてしまうかもしれませんが、それほど急いで申請しなければいけないものでもありませんので、あまりに大変でしたら少し先に延ばしたり、問い合わせの電話を誰かにまかせるのもありだと思います。
管理人イチの体験談
私の病院の手術内容
私の通院していた病院では、掻爬手術は「子宮内容掻爬手術」という名前で、日帰り入院扱いとなるそうでした。
朝8時すぎに病院に入り、手術は午前中、手術の時間は15分程度だそうですが、静脈麻酔や笑気ガスを用いるため、麻酔が覚め、出血が多すぎないことを内診で確認したら帰宅というスケジュールでした。
費用は保険適用のため1万円程度ということでした。
結婚時、医療保険に加入していた
入院と聞いて思い出したのが、結婚してから入った医療保険。
プランナーさんに、
「女性は妊娠前に入った方がいいですよ!
帝王切開の場合なんかも給付金が入りますので」
と言われてそれじゃあすぐにと入った医療保険でした。
「最近は病院側も入院期間を短くしたく、日帰り入院で手術をして、
その後、通院で様子をみるパターンが増えているので、
新しい保険はだいたい日帰り入院対応で
(少し前のものは入院5日以上から給付というものが多かったそうです。)
この会社は通院特約といって、入院後の通院の場合、日額○千円などの給付がおります」
そう説明されて、確かになぁと思ったので、通院特約もつけていました。
保険会社に電話
もし今回の手術が該当するなら、早めに診断書を取り寄せなければ!とすぐに電話しました。
稽留流産と診断されて、掻爬手術のスケジュールを聞いた直後のことでした。
なにかしていなければ落ち着かないということもあって思いついたことから動いてしまっていた感じでした。
オペレーターの方はとても丁寧に対応してくださいましたが、この電話、流産直後の人にはちょっとたいへんでした。
当たり前の話ですが、保険給付に該当するかどうか調べてもらうために、症状や経過、診断名などをオペレーターの方に伝える必要があります。
稽留流産の診断を受けてすぐ、これは非常につらかったです。
医療系の勉強をしてきたこともあり、割り切って話せるのではと思っていましたが、頭で理解していても、まだ涙は流れるわけで。。。
もしも旦那様などしっかり現状を理解できている方がいらっしゃれば、この電話はその方にお任せしたほうが精神衛生上いいなぁと思いました。
手術名は正確に伝えよう
ちなみに私の病院では「子宮内容掻爬手術」という手術名でしたが、保険会社のほうで該当した手術名は「子宮内容除去手術」でした。
手術の内容は一緒でもちょっとした違いで給付がおりないということもあるそうなので、電話であらかじめ確認しておいたほうがよいと思いました。
私の保険会社は、この後社内の規定を調べてくれ、「子宮内容掻爬手術」=「子宮内容除去手術」としてくれたようで、給付がおりるので書類を送りますということになりました。
両親のかけてくれていた保険
前述しましたが、結婚したばかりの方ですと、ご両親がかけていた保険の契約がまだある場合もあると思うので、もし流産のことをご両親にすでにお話しているようなら、聞いてみてもいいかもしれません。
どちらがお金を払っていても、せっかく払ったお金ですので、もらえる時はもらっておいたほうがいいと思います。
私は、通院後実家で休ませてもらっているときに自分の加入保険のことを思い出して電話をかけていたら、母も私が被保険者の保険があったことを思い出し、その場で書類を探してくれました。
結局、手術はしなかったので、その後の請求をどうやってやるかまではわかりませんでしたが、もし手術となっていた場合、少なくとも金銭面はフォローしてくれる保険というのはありがたいものだなと思いました。

特に、術後の通院というのも馬鹿にならないものだなと感じました。
医療保険については、私は貯金でまかなえるのならいらないのでは...?という派で、今加入している保険もいずれ見直さなくてはと思っていましたが、もしも今後も医療保険を続けるのなら、少なくとも通院特約はつけようと思いました。
まとめ
医療保険は使う機会がないに越したことがありませんが、女性は妊娠・出産において初めてお世話になる、という人が多くいると思います。
流産は、心身ともにしんどいものだと、体験してみてよくわかりました。
お金がいくらおりたからといって、しんどい気持ちや身体が楽になるものではありませんが、少なくとも金銭的な補給は受けられます。
受けられないよりは絶対受けられたほうが、自分のためにも、今後の家族のためにもなると思いますので、大変なときですが、ぜひご自身の加入保険を確認してみてください。