
つい妊娠=出産ととらえがちですが、残念ながら流産となってしまう人は意外と多いです。
その中でも稽留流産は、自覚症状のないまま診断されてしまうことがほとんどです。
私自身、実際稽留流産と診断されて、誰にでもリスクがあることはわかっていましたが、本当に悲しかったです。

稽留流産とはどんなもので、どんな原因でおこってしまうのか、何か気付ける症状はないのか、
稽留流産となってしまった場合の対処法などについて体験談を交えてまとめます。
稽留流産とは
稽留流産とは、赤ちゃんの発育が停止しているが、出血や腹痛などのいわゆる流産の兆候がみられない状態のことを言います。
自覚症状が見られない場合が多いため、検診の超音波検査で判明することがほとんどです。
・明らかに心拍が確認できる週数のサイズの胎芽が確認できるのに心拍が確認できない場合
・前回の診察で心拍が確認できたが、今回は確認できない場合
・通常の発育から遅れており、2週間経っても成長が見られない場合
これらの症状がみられる場合、稽留流産と診断されるようです。

原因
稽留流産は初期に起こることが多く、初期の流産の原因のほとんどが染色体異常です。
染色体異常は年齢により増加するとはいえ、健康な若い男女の妊娠でも一定数見られるものです。
卵子や精子に異常がなくても、受精卵として成長していく途中で起こるエラーもあり、特別な原因がなくても誰にでも起こりえるもので、対処法もありません。
流産を3回以上繰り返す場合、習慣性流産や不育症と診断されます。
この場合の流産に化学流産は含まれません。
習慣性流産や不育症は、まだわかっていないことの多い分野ですが、原因がわかれば対処できることもありますし、無治療でも子どもを授かっている人もいます。

私の場合、血液検査の結果、グレーゾーンの値が2つ見つかり、妊娠したら服薬することになりました。



私は不育症グレーゾーンでしたが、多くの流産は特に原因がなく、意外と多くの人がなっているものです。
1~2回の流産の場合は不育症検査は不要と、専門クリニックにも言われました。
症状
診断された場合
稽留流産の診断を受けたら、次に考えるのはお腹の赤ちゃんをどうやって外に出すかということです。

確実にお腹の中で亡くなっている・成長がとまっているが、出血が始まる予兆が見られない場合、掻爬手術を勧められることが多いと思います。
子宮内容物を掻きだす手術で、日帰り~1泊2日ほどの入院で行われることが多いです。
また、病院によっては自然に赤ちゃんが出てくるのを待ちましょうということもあります。
稽留流産→進行流産→完全流産を待つパターンです。
既に出血が始まっており、エコーで胎嚢が押し出されていることが確認でき(進行流産に移行中)、かつ感染症が現状見られない場合には勧められることがあります。
ただ、後述しますが自然排出は不確定要素も多いため、病院では掻爬手術が勧められる、もしくは一択の場合も多いです。
急ぐ必要はあるの?
稽留流産と診断された場合、病院によっては掻爬手術をすぐにと勧められることもあると思います。
掻爬手術のメリット、自然排出待ちのデメリットは後述しますが、特に感染症のリスクは母体への影響も大きいため、多くの病院では掻爬手術が第一選択肢にあがってくると思います。
ただ、稽留流産は多くの場合、検診で突然指摘されるもので、母親はなかなか受け入れられないことが多いと思います。
たいていの場合、1週間ほど間をあけて、もう一度内診をして成長が見られない場合手術となると思いますが、あまりにもその期間が短い場合は、母親が納得できないまま、「もしかしたら成長が遅いだけでこれから心拍が見られるんじゃないか」と思ったまま手術となってしまうこともあるかもしれません。
それはあまりにも酷なことだと思います。
あまりにも早い手術日程を提示された場合、不安に思う気持ちや、もう少し猶予をもらえないか等を聞いてみるのもいいと思います。
本人の納得が大事だと思います。
そのうえで、既に感染症を起こしているから早めの手術を勧める等主治医から理由の詳細な説明があった場合、母体を最優先に手術を行うのがいいと思います。
掻爬手術のメリット
決まった日に確実に行える
掻爬手術は赤ちゃんを含め胎盤や内膜などを掻き出す手術で、この日と決めた日に内容物を全て出すことができるメリットがあります。
後述しますが、自然排出の場合、確実に全ての内容物がでてくるとは限らないので大きなメリットです。
内容物を確実に病院に渡せる
稽留流産の場合、胞状奇胎ではないかを確認する病院が多いと思います。
胞状奇胎とは、染色体異常の一種です。何が問題かというと、胞状奇胎の場合、細胞の一部が子宮内に残ってしまっていると絨毛がんへ移行する可能性があります。
このため、内容物を検査して、胞状奇胎かどうかを検査できたほうが安心ではあります。
掻爬手術の場合、病院が確実に胎嚢を取り出してくれると思いますので、検査が確実にできますが、自然排出の場合、トイレに流れてしまったということも多々あるようです。
胎嚢を検査に回せなくても、基礎体温やhCGを継続して測定することで胞状奇胎かどうかを診断できますが、一番早い方法が胎嚢に含まれる胎芽成分の分析になりますので、手術のメリットになり得ます。
出血期間が短いことが多い
また、自然排出に比べて早期に子宮内のものを出すことができるため、出血期間が短く、次の生理も比較的遅くはならないようです。
掻爬手術のデメリット
子宮内膜が薄くなる恐れ
一方デメリットとして、ごく稀に子宮内膜が薄くなってしまうことがあるそうです。
子宮内膜が薄くなると着床に影響するので妊娠しづらくなることがあるそうですが、これは一度目の掻爬手術で起こる頻度は低いようです。
子宮に傷がつくリスク
掻き出すための器具で子宮が傷ついてしむうことがあるそうです。
子宮に傷がついてしまうことも、術者が丁寧に行えばそう起こり得ないことらしいです。
手術入院が必要
手術の流れとしては、手術前日くらいに子宮口を広げる前処置をして、手術当日を迎えるというパターンが多いようです。
(中には、前処置をしなかったり、当日に行う病院もあるようです。)
そのため、手術前日から入院する病院もあれば、前処置は外来、手術当日のみ日帰り入院という形をとる病院もあるようで、どの程度の期間になるかはその病院によるようですが、少なくとも入院・手術が必要なケースが多いです。
この間、仕事を確実に休む必要が出てきます。
また気になる費用についてですが、自然排出に比べて多少まとまった費用が発生しますが、保険適用で1万円前後のようでした。
(これも病院によってきますので、事前にご確認ください)
自然排出待ちの場合、こまめに通院する必要もありますので、結果として大きく全体的な費用は大きくは変わらないと思います。
また、民間の医療保険加入者は、「入院」や「手術」の給付がおりる可能性もあります。

これは加入保険や入院の有無により異なりますので、各保険会社にお問い合わせください。
一応デメリットに書きましたが、大きくは変わらないと思いますので、費用や金額は掻爬手術か自然排出待ちかの決め手にはならないかなと思います。
自然排出のメリット
子宮が傷つくリスクは比較的低め
母体の力で出す方法のため、排出の際に子宮が傷ついたり薄くなったりするリスクは掻爬手術よりは少ないとのことでした。
手術や麻酔をしなくていい
今回の掻爬手術が初めての入院・手術という方も少なくないかもしれません。
そういった方にとって、入院・手術・麻酔などはとても怖くて抵抗のあることかもしれません。
うまく全部排出されれば、手術は一切必要なくなります。
自然排出のデメリット
いつ、どのくらいの出血・痛みがくるかわからない
いつでてくるか分からず予定外の大出血や腹痛の恐れがあることと、子宮内感染のリスクがあることが最大のデメリットです。
成長のとまった赤ちゃんは、異物となってしまうため、感染の原因になったりするそうで、あまり長いこと出てこない場合は手術も視野にということでした。
(感染症の兆候が見られないこの段階では1~2週間は排出を待って問題ないとのことでした。)
特に仕事をしている人にとって大きなデメリットは、いつどのくらいの出血、腹痛が起こるかわからない、ということでした。
陣痛のような痛みがきてから激しい出血になることもあれば、突然大出血を起こしてしまうことがあるそうです。
私自身、結果的に自然排出を経験しましたが、陣痛様の激しい腹痛と普段の生理とは比べ物にならない出血となりました。

いつ、どんなレベルの痛みと出血がくるかわからないというのは、大きなデメリットだと思います。
内容物を確実に病院にもっていけない
掻爬手術のメリット欄にも書きましたが、胞状奇胎かどうかを調べるため、「できれば出てきた塊は病院に持ってきてくださいね」と指示を受けることがあります。
うまいことナプキンの上に出てきてくれればいいですが、激しい腹痛と出血でトイレに駆け込んだらそこで出てきてしまって、流れてしまったということは間々あるそうです。

結局掻爬手術が必要なこともある
そんな思いをして排出しても、内容物が完全に出切らないこともあるそうです。
その場合は、掻爬手術を行い、残ったものを掻き出す必要があります。
私の体験談
私も初めての妊娠で、妊娠7週1日で稽留流産疑い、妊娠8週0日で稽留流産確定となりました。

仕事柄人前にでることも多く、いざ出血になってしまうと対応が難しいため掻爬手術を選択しましたが、手術前日に発熱&なぞのリンパの腫れが起こり、エコーの様子から出血も始まりそうとの診察を受け、医師と相談の上自然排出を待つことになりました。
8週2日より出血が始まり、9週0日の早朝に自宅で自然排出となりました。
前日夜より、生理痛のような痛みと生理2日目程度の出血となっており、9週0日深夜は陣痛のように波のある痛みが続き、痛みで目が覚めました。
脂汗がでるような痛みで、痛みのピーク時はちょっとうなりたいくらいでした。
出血量がすごく、ナプキンを変えようとどうにか起き上ったところで胎嚢・胎盤・胎盤の周りの内膜が出てきました。
出てきた瞬間、すっと陣痛様の痛みがなくなり驚きましたが、その後も出血量はしばらく落ち着かず、トイレから出られない状態でした。
胎嚢・胎盤・胎盤の周りの内膜は、幸いナプキンの上に出てきたため、病院に持っていくことができ、胎児成分の確認、胞状奇胎でないことが確認できました。
その後、だんだん出血は減り、最初の自然排出から2週間ほどで出血がとまりました。
少し長い低温期でしたが、無事に高温期もあり、ちょうど50日目に自然排出後最初の生理がきました。